あなたに恋のお届けものです
***
ドンッ!
「いってーな!」
「わっ!ごめんなさい!」

ぼうっと歩いていたら誰かにぶつかってしまったみたいだ。
私のバカー!
「って何だ、藤川じゃねぇか。」

ん?見ると相手は松田君だった。
「あっ、松田君…」
私が言い切らないうちに松田君は、私に手を差し出した。
この手は何?

「あのさ、この手は何?」

「決まってんだろ。お金、マネー。」
マネー!まさか…ぶつかったから?

「何で?ぶつかったのは確かに私が悪いけど…。お金は渡さない。」
そう言うと、松田君は真剣な顔になった。

「お前に拒否権はねぇし。」

…は?どういうこと?
「は?どういう…」

グゥーグルグル。

突如、言葉を遮ったのはお腹の音だった。
「もしかして…。」


「はい!」
「いただきます…。」

松田君はあっという間にカレーセットをたいらげた。
ああ…私の400円が…。

「お腹が空いてたんだったら素直に言えばいいのに。」
そう言うと、松田君は顔を背けた。

「俺がお腹空いた、なんて言えるわけねーだろ。」

…どこまで俺様なのだろう。彼は。

「松田君って、俺様なんだね。」
「んなわけねーし。」

「じゃあなんなのよ。」
松田君は真面目に、こう言った。

「勝利様。」

…………バカ?こいつは。
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