あなたに恋のお届けものです
「みんな、何も知らない私を利用してたってこと…?」

もう、悠里と勝利に気づかれるかどうかはどうでもよかった。次から次へと流れてくる情報に頭がどうにかなってしまうかのようだった。

有紗は、そのままドアをゆっくりと開ける。

元の世界の話を真剣していた悠里と勝利の顔が、一瞬で固まった。

「…有紗さ、ん」
「聞いてた…のか?」


二人の反応も有紗にとってはどうでもよかった。そんなことよりも、混乱する頭に浮かぶ怒りをぶつけたかった。
怒りをぶつけるしか、状況を受け入れるには、方法がなかった。


「私はっ、…何も知らない私は真由子と勝利と悠里に利用されてたってことでしょ!」

「違う、有紗さ」

「違わない!」

大好きな人(悠里)が、親友(真由子)が、好きだった人(勝利)が。

みんな、この世界の人じゃなくて。

「私は、ただ悠里が好きなだけなんだよ…。ただ、好きで、想ってただけなのに。元の世界とか、帰る方法とか、そんなの知らない、知らない…。」

ただ想ってることが悪いことなの?想ってるだけなのに、どうしてこんなに残酷なことを知らなきゃいけないの?

有紗は、へたりと力が抜けたようにしゃがみこんだ。

涙が次から次へと流れ落ちる。
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