あなたに恋のお届けものです
最後の1日になった。

「みんな集まったな?」

私と勝利と、そして悠里と有紗も。
集合した4人は頷いた。

美術室ーー私が美術部として特訓に特訓を重ねたところだ。

高浜先輩と出会ったところでもあり、高浜先輩の過去を聞いたところでもあり…

今日でそれも最後なんだ。

「とりあえず最初に、永井の報告書を書く。」
「はい。」

高浜先輩は、紙を出すとすらすらと書き始めた。

『永井悠里が31日に帰還の条件を満たした模様。』

そこでペンを置くと、高浜先輩は静かに問いかけた。

「最後に聞いておくけど、本当に帰らなくていいのか?」

もう二度と帰れなくなるが、と言葉を続ける。

二度と、というその言葉の重さに有紗の肩がびくっと震えた。



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