溺愛彼氏
「仕事頑張って」
今日はとても素敵な日である。
お昼休み会社でお弁当箱をうきうきしながらパカっと開けた。
なんせ、今日のお弁当はもみじくんの手作りです。
「あんず、明日は僕がお弁当作ります」
「え、そんな申し訳ないです」
「いいのいつもあんずが作ってくれてるのでたまには僕にもやらせてください」
そう言って早起きして朝ごはんと、お弁当を作ってくれたもみじくん。
あれ?
私が作るよりも凝ったおかずたちが並んでいるように見えるのは気のせいだろうか。
確かに、朝ごはんのオムレツとスープは美味しかった。
なんでもできるもみじくんに少々嫉妬しつつおかずに箸をのばす。
肉巻きのアスパラに、和風スパゲティ、じゃこと大根のサラダに、エビとブロッコリーのソテー。
「おいしい」
食べやすいサイズで握られたおにぎりからも、もみじくんの優しさが伝わってくる。
と、お弁当箱と包みの間から小さなカードが出てきた。
それを見て、おにぎりを頬張りながら口元がゆるゆるに緩んでしまう間抜けな自分に恥ずかしくなる。
よくよく考えたら私の好きなものばかりが詰まったお弁当箱。もちろん、全て美味しくいただいたのはいうまでもない。