溺愛彼氏
「可愛いすぎます」
「ん……、」
寝返りをうったら、さらりと、さらさらの髪に顔をくすぐられた。寝ぼけ眼で視線を向ければ、僕の腕の上ですやすやと眠っているあんずがいる。
反対の手で枕元のスマホへ手を伸ばせば時刻はまだ朝の6時前。
「……可愛すぎるでしょ」
と、あんずの寝顔に自然と言葉が漏れた。
あんずが起きないようにあんずの頭が乗った腕は動かさず、反対の手でスマホを操作して、思わず。
カシャリーー。
寝室にカメラ音を響かせた。
バレたら怒られるんだろうなと、慌てて枕元にスマホを戻す。
「……ん、」とあんずの吐息が溢れて、起きないで。なんて思いながら、ぎゅっと抱いてシャンプーのいい香りのするあんずの髪に顔を寄せる。
と、それに合わせて僕の胸にすりすりと顔を寄せてくるあんず。
「なにそれ、反則でしょ」
たまらなく、くしゃりと彼女の綺麗な髪を撫でた。
「絶対、離してあげないし、これから先、絶対僕が幸せにしてあげる」
僕が呟けばぎゅっとあんずの手が僕の服を掴んだ。
それに思わず口元が緩んで、まるであんずが返事をしてくれてるみたいで。
朝から幸せを噛み締めて「おやすみ」と、あんずを抱きながら僕はもう一度、夢の中へ沈んでいった。
***
ふと目を覚ませば隣で眠っていたあんずがいない。
バッと起き上がりスマホを手にすれば時刻は8時過ぎ。あれから2時間ほど寝てしまったのかとスマホのロックを解除すればあんずの寝顔の写真が。
あんずには、バレないように宝物にしよう。
と、そう心に決めてホーム画面に戻ればメッセージが5件きていた。
メッセージを開いて思わず口元が緩む。
リビングから聞こえる物音にベッドから飛び起きて大好きな彼女の元へ向かった。