センセイが好き―恋人は中学教師―
2章
変人教師
翌日、家に帰ると、見慣れない男物の靴が目に入った。
一瞬、昼ドラみたいなドロドロしたイケナイシーンが頭をよぎったが
そういえば今日は蒼介の家庭訪問だったっけか。
「ただいまぁ」
「あら、お帰り。…長女です」
リビングを覗くと、まだ二十代そこそこの
背広が似合わない茶髪頭の男が立っていた。
「こんにちわ。蒼介くんの担任をしてる、高梨っていいます」
「……どーも…」
あたしは素っ気なく返事をして、部屋にいこうとした。
「お母さんも美人だけど、お姉さんも美人ですね!
蒼介くんが男前なわけだ!!
蒼介くんもいい子ですしね。
お姉さんも優秀なんだろうな」
コイツ…馬鹿にしてんの?
そんなこと、微塵にも思ってないくせに。
ガンッ――。
「残念ながら、弟もあたしも、だいぶやんちゃなタチなんで、さぞかし大変でしょうね」
あたしは壁を殴り、高梨を睨みながら言った。
高梨は目を丸くしている。
……不愉快な教師だ。
.