センセイが好き―恋人は中学教師―
部屋に入り、カバンを床に叩きつけた。
大人なんて皆…口先だけの不愉快極まりない生きものなんだ…。
郁人にグチろうと、窓際に行ったとき
コン…コン…と、遠慮がちなノックが聞こえた。
どうせ母親の説教だ。
「はいはい」
荒くドアを開けて、面食らった。
そこにいたのは、さっきの茶髪教師だった。
「さっきは…ごめん…」
子犬みたいに俯きがちに謝ってきた茶髪教師を見て、びっくりしてしまった。
「嫌味に…聞こえたのかなって…思って」
「……ああ、聞こえたね。
思いっきり」
「……ごめん…」
なんなんだこいつ…。
「そんなとこでつっ立ってられてもうっとうしいから、入って。
えっと…高梨…?」
「あ、はい」
高梨は、おずおずと部屋に入ってきた。
コイツ、本当に教師?
威厳がないなぁ…。
「あんた、何でそんなにオドオドしてんのよ。
教師なんだから、ビシッとしなさいよ」
「あぁ……ごめん…。
あんま女の子の部屋って入ったことなくて…」
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