センセイが好き―恋人は中学教師―


冬馬は、キョトンとしたあと…

大きく丸い目をさらに丸く見開いた。


「…さわ…ちゃん?…今…」

「これも、迷惑?」


自分でも驚いた行為への照れ隠しで、軽く冬馬を睨みながら聞いた。


「…いや…少し、びっくりしたけど」


冬馬は鼻の頭を掻きながら、おずおずと言った。


「…あたしあんたの生徒の姉貴だよ?」

「あ、忘れてた…」

「今、家庭訪問中だよ?」

「…それも忘れてた」



忘れるか…?普通…。



「変な教師」



あたしの呟きが聞こえたらしく、冬馬は目を丸くしてわたしを見た。


もともとデカイ目をより一層開くと、女の子のように見えてしまう。


「何よ」

「いや…さわちゃんって、変わってんね」


よく言われはするが…あんたにだけは言われたくない。


「他の女の子とは言うことがまったく違う。

みんな、俺の気を引こうとお世辞や俺の美点しか言ってこないのに…さわちゃんは俺の欠点を言ってくれるんだね」


「あたしを他の女なんかと一緒にされちゃ困るね」




あたしの言葉に、冬馬は優しく微笑んだ。









.
< 13 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop