センセイが好き―恋人は中学教師―
冬馬は、キョトンとしたあと…
大きく丸い目をさらに丸く見開いた。
「…さわ…ちゃん?…今…」
「これも、迷惑?」
自分でも驚いた行為への照れ隠しで、軽く冬馬を睨みながら聞いた。
「…いや…少し、びっくりしたけど」
冬馬は鼻の頭を掻きながら、おずおずと言った。
「…あたしあんたの生徒の姉貴だよ?」
「あ、忘れてた…」
「今、家庭訪問中だよ?」
「…それも忘れてた」
忘れるか…?普通…。
「変な教師」
あたしの呟きが聞こえたらしく、冬馬は目を丸くしてわたしを見た。
もともとデカイ目をより一層開くと、女の子のように見えてしまう。
「何よ」
「いや…さわちゃんって、変わってんね」
よく言われはするが…あんたにだけは言われたくない。
「他の女の子とは言うことがまったく違う。
みんな、俺の気を引こうとお世辞や俺の美点しか言ってこないのに…さわちゃんは俺の欠点を言ってくれるんだね」
「あたしを他の女なんかと一緒にされちゃ困るね」
あたしの言葉に、冬馬は優しく微笑んだ。
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