センセイが好き―恋人は中学教師―
ときめき
優しい、穏やかな空気があたしたちの間に流れた。
第一印象は最悪な奴だったけど
あたし…こいつのこと、嫌いじゃないかも。
「……さわちゃん…」
冬馬が何か言い掛けたとき
急に部屋のドアが開いた。
条件反射で、あたしは一歩冬馬から離れた。
「あー、やっぱ冬馬センセーここいたんだ」
入ってきたのは、例のやんちゃ弟――蒼介だった。
「姉貴に何してたんだよ〜」
「いやー、倉木の姉ちゃん超美人だからさぁ…つい口説いちった」
二人の会話と、蒼介の口から出た『センセー』という単語に驚いた。
…蒼介は、絶対に教師を『先生』などと呼ばない。
まともに呼んでいたのは小学校三年生くらいまでだ。
最近では全ての教師が『アイツ』呼ばわりだったのに…。
この教師…何者なんだ?
.