センセイが好き―恋人は中学教師―
和気あいあいと冬馬と話す蒼介の横顔は、生き生きしていた。
暫らく蒼介と話していた冬馬は、ふと時計を見て、立ち上がった。
「そろそろ帰んなきゃな」
「あ、そっか。家庭訪問中か」
そうそう、と頷きながら部屋を出ていこうとする冬馬を見て
なぜだか少し、寂しくなった。
「……っ」
本当に…無意識だった。
あたしは冬馬に抱きついていた。
「…えっ……?…」
「や……あの、これは」
あたしは、慌てて何か言い訳を考えた。
「…えっと」
ダメだ。
何も思いつかない。
諦めて目を伏せたあたしの額に
柔らかく、暖かいものが触れた。
「え…?」
「仕返しだよ」
冬馬はニッと笑い、部屋を出ていった。
なんだ…?
これ。
この、変な感覚。
この感じ
あたし知ってる。
初めて、郁人を好きだと気付いた時の感じ―
達巳と付き合っていた時の感じ―
いや。
そんなもんじゃない。
……あぁ…そっか。
あたし…
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