センセイが好き―恋人は中学教師―
3章
郁人
翌朝、家を出ると、郁人が玄関先に立っていた。
「郁人…?あんた、彼女は?」
いつもは、彼女と一緒に駅まで行っているはずなのに…。
「昨日会って、別れた」
「……まじ…で?」
そーいやこの前、別れたいって言ってたなぁ。
郁人の彼女…もとい“元”彼女は、一つ上の中学時代先輩で
美人で有名だった。
「やっぱ重くてさ。あいつの付き合い方」
郁人は爽やかな笑顔でサラッと言い捨てると、あたしの手を取った。
「行こっ」
こんな郁人、初めてだ…。
あたしは不自然に明るい郁人に戸惑いながら、学校に向かった。
「紗羽子はさぁ、彼氏つくんねーの?」
「何よ?急に…」
「俺さー、誰と付き合っても合わねーじゃんか?
だからいっそのこと……俺と付き合わねーか?
紗羽子」
「え…?」