センセイが好き―恋人は中学教師―
奈々夏を連れて家に戻ると
楽しそうな笑い声が聞こえて来た。
「ホントに高梨先生来てるんだぁ…!!」
奈々夏はまるで大好きな芸能人に会うような
そんな顔をしていた。
「ただいまぁ」
「おう!……っと、ナナ?」
「久しぶり、蒼兄ちゃん」
「さわちゃん、この子、誰?」
蒼介と向き合っていた冬馬は、奈々夏を見て言った。
さすがに存在を知られていなかったのはキツかったらしく
奈々夏は少しばかり残念そうに瞼を伏せた。
「あたしらの幼なじみだよ。
幡多(ハタ)奈々夏。蒼介と同じ中学の一年だけど…知らない?」
「知らない」
そこまでハッキリ言うか…。
冬馬…あんた素直過ぎるわ。
奈々夏は涙目になってる。
「…えっと…幡多さん?
俺二年団だから一年の生徒は把握してないんだぁ。
ごめんね?」
冬馬は申し訳なさそうに微笑んで奈々夏を見た。
それだけで奈々夏の表情は一変する。
冬馬スマイル
恐るべし。
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