センセイが好き―恋人は中学教師―
「好きな子って…誰?」
奈々夏は、震えた声で絞り出すように尋ねた。
「…可愛くて、少し強がりだけど
ほんとはすごく心の優しい素直な子」
冬馬は、あたしを見たまま
優しい声で言った。
やばい。
なんか
自分のこと言われてるように思うじゃんか…。
何であたし見んだよ、ばか。
「…そっ……か」
奈々夏は暗い表情でそう言うと
部屋を出て行った。
「…ナナッ!」
「紗羽子姉ちゃん…」
「あの…さ、…大丈夫?」
励ましの言葉にもなんない…。
結果がわかってて背中を押しといて
本人が傷ついたとこを見たら慰めずにはいられらないなんて
あたしってホント最悪だ。
「……あたし、負けないよ」
「…え…?」
「紗羽子姉ちゃんには負けない」
「……何言って…」
「…冬馬先生のことが……好きなんでしょ?」
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