センセイが好き―恋人は中学教師―
5章
相談
部屋に戻ると、奈々夏は何事もなかったように冬馬と話していた。
暫くして、奈々夏が帰った後
蒼介が小声で聞いて来た。
「姉ちゃんさ…郁人くんとなんかあった?」
「な、なんで?」
「郁人くん…このところ家に来ないから」
…。
まぁ、前までは二日に一度は必ず晩御飯食べに来てたから
心配もするよね…。
「…わかんない…」
「そっか」
嘘、ついた。
言える訳無いじゃん。
だって
きっと蒼介は気付いてる。
あたしが冬馬を好きなこと。
なのにそれが理由で、あたしは郁人を傷付けた。
そのことを知ったら、きっと蒼介は二人を天秤にかけられないよね…。
蒼介がいなくなると
冬馬と二人きりになった。
き
気まずい。
「さわちゃん」
気が付くと冬馬はとてつもない至近距離まで来ていた。
「なっ、なに!?」
「元気ないよ?何かあるなら、俺に相談してみ?」
「……冬馬…」
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