センセイが好き―恋人は中学教師―
冬馬はじっ…と、あたしの目を見つめていた。
芯の通った強い眼差し…。
あたしはその眼差しが怖くて
目を逸らした。
「…あんたに相談するような悩みじゃないよ」
「……一人で抱え込んじゃダメだよ」
全部…全部を見透かすような目。
あ…
ダメだ。
あたし、この目に弱い。
じっと見られてると、折れてしまいそう。
「さわちゃんはさ…」
「…え…?」
「美人だし、スタイルいいし、性格もいいし…いい子だと思うよ。
お姉さんとしても、女の子としてもね」
「そ、それが何?」
「…でも、人に頼らなさすぎる」
ポン、と優しく
冬馬はあたしの頭を叩いた。
初めて冬馬が怒った…。
「紗羽子は…一人で我慢しすぎなんだよ」
初めて…名前で呼ばれた。
その嬉しさと、冬馬の優しさからの安心感で
溜めていたものが
涙となって溢れ出した。
「……っ…ふぇぇ…ん…」
「え…さわちゃんっ?!」
あたしは冬馬に抱き着いて
小さな子供みたいに声を上げて泣いた。