センセイが好き―恋人は中学教師―
冬馬は、あたしが泣いている間
ずっと抱きしめてくれていた。
「……っ…」
「大丈夫…?」
「ごめん、もう大丈夫…」
まるで、恋人を慰めるような目。
やば。
こんなに密着してたら
ドキドキが…
伝わる…。
「何があったか、話して?」
「……うん」
あたしは、冬馬に抱きしめられた状態のまま
口を開いた。
「…あたしね…ずっと友達だった…幼なじみの男の子がいるんだ」
「…うん」
「…ずっと一緒にいて……一緒にいるのが当たり前だった。
あたしが辛いときに、いつもそばにいてくれたの。
…でも、あたし、その人に告白された」
冬馬は何も言わなかったけど
抱きしめる腕に少し力が入ったのが、あたしの腕から伝わった。
「…それであたし…断った。
……好きな人がいるから…」
正直
心臓の音で自分が何言ってるるかなんてまったくわからなかった。
「……なのに…もう昔みたいには戻れないって思ったら……胸が苦しくなるの」
あたしは冬馬の服の裾をきつく握った。
「…友達のままで…いたかった」
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