センセイが好き―恋人は中学教師―
変な女はずかずかと近づいて来た。
「すたんどあっぷ!ちびっ子!」
「何故に英語、そしてちびっ子てゆーな」
「だってあたし、あんたの名前知んねーもん」
「ふーん」
俺は意地でもどいてやるまいと思い
無視して携帯をつつき出した。
「あれ?教えてくんねーの?」
「自分から名乗れ馬鹿」
「馬鹿とは酷いねー。
おねーさんはねー、桜ってゆーの」
「あ、意外と古風な名前」
「るっさいなー。あんたは?」
桜は俺の座っているブランコをがちゃがちゃと揺らした。
…酔いそー…。
「冬馬」
「とーま?」
「そう。冬馬」
「想像どーりの名前だ」
「ならよかった」
桜は俺の向かいの柵に座った。
不覚にも
ドキッとした。
空を見上げる桜の瞳が
あまりにも哀しく
そんな桜の横顔が
美しかったから。