センセイが好き―恋人は中学教師―
「……へ?」
ザァッ――という風の音が、やけに耳に響いた。
俺は一瞬、何を言われたのか理解できずに、桜を見つめ返したが
彼女は変わらぬ真剣な眼差しで俺を見ていた。
「…さく、」
「…あたし…冬馬が好きなの。
だから…冬馬と……したい。
…最初で最後でもいいから……お願い」
桜は一歩俺に近付き
うっすら涙が浮かんだ目を俺に向けた。
「一瞬だけ……あたしを好きになってください…」
「…っ!!」
告白された経験がないわけじゃない。
むしろ告白されるだけなら経験豊富なほうだ。
けど
今まで、こんなにも過激で
…何故だか涙が溢れてくる告白をしてきた奴はいただろうか?
「冬馬…?」
「…ごめ……何かわかんねーけど…」
胸が、きゅうって…
締め付けられた。
きっと、嬉しくて。
「…一瞬なんて…やだよ」
「…え…?」
「…ずっと…好きでいさせてください」
俺たちは
お互いに歩み寄り
どちらからともなく唇を重ねた。