センセイが好き―恋人は中学教師―
その日も
いつもの様に、公園で桜を待っていたが
桜はいつまで経っても現れなかった。
携帯も通じず、時間を増すごとに
比例して不安な気持も募っていった。
ふと、誰かがこちらに歩いてくるのが見えた。
桜
…ではなかった。
現れたのは、30代後半だろうか。
どことなく桜に似た雰囲気を持つ女性だった。
「えっと…あの、冬馬くん?」
「…あぁ…はい」
「…いつも、桜がお世話になってます」
「…え?」
その女性は、疲れ気味の声で、そう言った。
「あの…」
「桜の母です」
「えっ」
なるほど、桜に似てるわけだ。
でも…
なんで?
「あの、桜に会ってやってください」
「…?どうゆうことですか?」
「………やっぱり、桜から聞いてなかったんですね」
「?」
「あの子…生まれつき心臓に病気を抱えてて……最近は落ち着いてたんですけど…また昨日……発作が出て…」
桜の母は、そこまで言うと
声を詰まらせた。
「……嘘…だろ…」
だって…
あんなに元気で…、いつも笑顔だったのに…
不意に
俺の脳裏に、桜の胸の傷がよぎった。
「……あ」
あれは、そうゆうことだったのか。
「桜は…桜はどこですか……!?」