センセイが好き―恋人は中学教師―


バタバタと慌ただしい足音と、朱い西日で目を覚ました。


どうやら眠っていたらしい。



あたしは隣で寝息をたてる郁人を見た。




気持ち良さそうに眠る郁人を起こすのは気が引けて

あたしはそっとベッドを出て、服を着た。



「じゃあね。郁人」


すやすやと眠る郁人の瞼にキスをして、あたしは郁人の部屋を出た。



郁人の家と、あたしの家は隣同士で

わたしの部屋と郁人の部屋が向かい合ってあるからベランダ伝いで行き来ができる。


あたしは鍵のかかっていない窓を開け、部屋に入った。



そっと階段を降りて、リビングを覗くと、母親が帰っていた。


「あら紗羽子、帰ってたの」

「うん。お母さんこそ、早いね」

「明日、蒼介の家庭訪問なの。
麻人(アサト)くんとこは、今日だったらしいけど」


麻人と言うのは、郁人の弟だ。


だから郁人の家、あんなに慌ただしかったんだ



家庭訪問か…。


あたしよりは可愛いものの
弟――蒼介(ソウスケ)も結構な問題児だ。



その蒼介の担任か…。



おもしろいやつが来るといいな。









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