センセイが好き―恋人は中学教師―
郁人は
ずっとあたしに優しかった。
ぶっきらぼうで、他の女の子にはちょっと冷たくても
あたしにはいつも、きらきらした笑顔を向けてくれてた。
でも…
もう、あの笑顔は見られないの?
郁人は…もうあたしには笑いかけてくれないの?
「…っ……う…」
すっかり日も落ちたあたしの部屋には
郁人のすすり泣く声が響いていた。
「…いく…と……なんで……」
何で貴方が泣くの?
「…おれ……俺は…ただっ」
『ただ紗羽子が好きなだけなんだ』
震える声で、郁人はそうあたしに告げた。
今…気付いた。
あたし
郁人を傷付けた。
郁人はあたしを傷付けたつもりでいたかもしれない…。
でも
自分で自分を傷付けてたんだ。
「…ごめ…ん……ごめん…郁人」
貴方をここまで傷付けておいて
あたし一人、幸せになることなんて
許されない…。