センセイが好き―恋人は中学教師―

初体験



あたしは部屋に戻り、ベッドに寝そべりながら

郁人の部屋を眺めた。


アイツ…まだ寝てる。



あたしの初恋は、実は郁人だったりする。




そして、初体験も――…。



彼氏と別れて間もなかったあたしは、ボロボロだった。

―――


「紗羽子、見ーっけ」


授業をサボり、屋上でタバコを吸っていたあたしの目の前に

ヌッと大きくてクリッとした目が現れた。


「……郁人…」



郁人は白に近い金髪をなびかせながら、ニッと笑った。


「達くんと別れたんだって?」


達くんというのは、例の彼氏――達巳(タツミ)のことだ。



「アイツが浮気したの」

「うわーっ、最悪。

で、紗羽子、グレちゃってんだ」


郁人はあたしの手からタバコを取り上げ、自分で吸い始めた。


「ちょ、郁人!?」

「許せねぇなー。紗羽子を傷付けるなんて」


ふーっ、と煙を吐いてわたしを見た郁人の顔は

真剣そのものだった。


「こんなにいい女なのにな…」

「…郁…人、何して」



あたしの言葉は、優しいキスで

かき消された。














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