道化師の素顔
人生とは何かを話しましょう。
きっと同世代の人たちには、この話題について来れる人は少ない。
なんだって当たり前のようにその人生を歩んでいるから。
幸せを、まるで当たり前のように持っているから。
僻むわけではない。
妬むわけではないし、嫌味でもない。
純粋に、現実としてその景色があるってだけの話であって、私からしてみればその生活はあまりにもかけ離れていたから、少しきつい物言いになるだけ。
それは僻みじゃないかって?
まぁ、他の人からはそう見えるのかもしれない。
そう言われてしまっては、私はなにも言えないのだけど。
私の人生は、気付いた時からどこかずれていた。
たくさんいる家族に、ボロい家。
「母」と呼ぶ人がいつの間にか二人いて、姉と信じて疑わなかった女性が一人。
一つ下の弟と、毎日仕事に出かける父親。
この時点で何もかもがいびつなのは言うまでもない。
母親と呼んでいた二人のうち一人は父方の祖母で、姉と呼んでいた人はその父親の妹にあたる人だった。
そして、母親と呼ぶもう片方の人とは、血の繋がりはない。
家族の中は良好そのもので、毎日楽しく、面白おかしく暮らしていた。
祖母が祖母であって母ではないこと。
姉が叔母にあたる人であることに気づくのには数年間の時間を有したが、この時の私は全くもってそんなこと知る由もなく、ただ本当の母親はいなくなってしまったのだと言うことだけを教えられ、みんな平和に生きた。
平和に生きていると思っていた。
新しい環境に慣れ、どれほどたったか。
母親の様子が変わり始めた。
それまでは不慣れながらもきちんと母親をやっていて、二人も子供が増えたのにとても優しくしてくれている。
連れ子だったお兄ちゃんとも仲はよく、兄弟3人とても楽しかった。
しかしふとした拍子に、母の様子は少し暗く、少しきつい印象になり始めた。
なにがあったかは、今も知らない。
それは本当に些細なの変化で、当時は毎日楽しい生活と自分のことしか視野になかった私はそこまで気にもできなかった。
そこで何かに気づいてさえいれば何か変わったのかもしれない。
今更すぎて言葉も出ないが。
その時から、いろんなことが変わったのだと思う。