昨日のわたしにさよならを
祐樹の家に着けば、いつもの祐樹の匂い。
「あ〜、祐樹の匂い、落ち着く〜」
「それ、よく言ってるけど、タバコの匂いじゃなくて?」
「違うよ、祐樹の匂いするもん。タバコの匂いは嫌いだけど」
「ははっ」
そう言いながら、祐樹は換気扇の下でタバコを吸う。
そんな姿を、私は少し離れた場所でじっと見ていた。
「なーに、そんな見つめて」
「んーん」
私はそっと祐樹の隣に立つ。
「どーしたの、タバコの匂い、嫌いなんじゃないの?
「嫌いだよー」
「じゃあ、離れなさい」
苦笑いをこぼす祐樹。
私は、近くにあるタバコを一本取った。