昨日のわたしにさよならを

「……」

祐樹は、何も言わない。
それもそのはずだ。

「祐樹がさ、『友達に戻りたい』って言って、二ヶ月経ったよね」

「……うん」

「私がまだ付き合いたいって言ってさ。……ごめん、もう、限界」

「……」

「不安になるの。連絡が少し来ないだけで。今、何してるんだろう、誰といるんだろうって。少し前は……こんなこと、思わなかったのに」

今日、これを言うために、何度も心の中で練習した。
思ったよりも、落ち着いて話せてる自分にびっくりだ。

「祐樹もずるいよ。自分からそんなこと言っておいて、デートはして、優しくして、キスも私がねだればして……。期待、しちゃうじゃん」

「……ごめん。俺はさ、ただ」

「私が傷つかないようにしてくれたんだよね」

知ってるよ。
祐樹が、誰よりも優しい人だって知っているから。


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