わたしの愛した知らないあなた 〜You don’t know me,but I know you〜
「歩いてくれるなら嬉しいけど、でも本当にちょっとかかりますよ。平気?」
平気、と一花は答えて二人で歩き出した。
なんでだろう、と、ふっと思うくらいに話題が途切れなかった。すごいなあ、この子、と一花は内心思う。
知らない街の知らない道を歩くのは楽しいものだ。
途中で、レトロな雰囲気の喫茶店があった。中からランプの灯りが見える。
「すごい、かわいい」
「面白そうだなあ。時間いいなら入ってみます?」
二人は木の扉を開けて中に入る。窓際の席に座ると、温かいコーヒーを二人とも頼んだ。照明を落とした室内に、ところどころ置かれた観葉植物と吊るされたランプが陰影を作っている。
一花は窓の外を見た。暗い背景に自分たちの姿が反射して写っている。と、その窓に、水の粒がポツポツと見えた。
「あれ?雨かな」
「え?」須賀が窓を覗き込むように見る。「あ、ほんとだ。降ってきた。立ち寄らずに帰った方が良かったかなあ」
「そうね。でも、そうしたら美味しいコーヒーは飲めなかったよ」
そう一花は運ばれてきたコーヒーを飲みながら答えた。そうだね、と須賀が笑う。
客もまばらで、クラシックの音楽が静かに流れている店内は、とても静かだった。それにつられるように、二人ともしばし会話が途切れたが、ふっと須賀が呟やいた。
「まだ、こっちでは雨なんだよなあ」
「何?」
平気、と一花は答えて二人で歩き出した。
なんでだろう、と、ふっと思うくらいに話題が途切れなかった。すごいなあ、この子、と一花は内心思う。
知らない街の知らない道を歩くのは楽しいものだ。
途中で、レトロな雰囲気の喫茶店があった。中からランプの灯りが見える。
「すごい、かわいい」
「面白そうだなあ。時間いいなら入ってみます?」
二人は木の扉を開けて中に入る。窓際の席に座ると、温かいコーヒーを二人とも頼んだ。照明を落とした室内に、ところどころ置かれた観葉植物と吊るされたランプが陰影を作っている。
一花は窓の外を見た。暗い背景に自分たちの姿が反射して写っている。と、その窓に、水の粒がポツポツと見えた。
「あれ?雨かな」
「え?」須賀が窓を覗き込むように見る。「あ、ほんとだ。降ってきた。立ち寄らずに帰った方が良かったかなあ」
「そうね。でも、そうしたら美味しいコーヒーは飲めなかったよ」
そう一花は運ばれてきたコーヒーを飲みながら答えた。そうだね、と須賀が笑う。
客もまばらで、クラシックの音楽が静かに流れている店内は、とても静かだった。それにつられるように、二人ともしばし会話が途切れたが、ふっと須賀が呟やいた。
「まだ、こっちでは雨なんだよなあ」
「何?」