わたしの愛した知らないあなた 〜You don’t know me,but I know you〜
急にショータが伸びをするように頭の後方で両腕を組みながら大声で叫んだ。

「あーちくしょう!さっさと思い出しやがれ!」

松岡が彼の背を軽くぽんっと叩く。吹子が笑っている。

仲いいんだな、と須賀は思う。たぶん、あのムカつく男も。

でも、須賀はそんなことは今はどうでもいい気分だった。

通りはクリスマスの飾りつけと人ごみでいつもよりずっと華やかだ。その中を歩きながら須賀は思う。

なんつうか、予想外だけど、まだ、何にも始まってないけど、でも、なんかいい感じじゃないか?

うん、悪くない。ていうか、いい!俺!

須賀は寒さも、働いた疲れも気にならなかった。

俺の人生、全然、悪くない!さすがクリスマス!サンタやるな!

町は夜が更けても明るい。





< 136 / 172 >

この作品をシェア

pagetop