わたしの愛した知らないあなた 〜You don’t know me,but I know you〜
「どうせ、電話かSNSかなんかしてるんだろ?」

「う……」

その言葉にテーブルの上に突っ伏してしまった一花をみて、慌てた声で鬼塚が言った。

「って、おい、連絡とってないのか?」

「いえ、全く連絡してないわけではないのですが……」

おととい、声聞いたけど。ちょっとだけど。

榛瑠はSNS嫌いで連絡取るときは普通にメールを入れた。と言っても、色々ながながと送っても、「了解」とか「おやすみ」とかそんなんばっかりだし。電話は仕事中だったりすると悪いのでこちらからは入れられなかった。やっと一昨日電話してきて勢い込んで喋ったら、

「わかりました。帰ったらまた聞きますので。こちらは変わりありませんのでご心配なく。社長も元気ですよ。というか無駄に楽しんでて迷惑です。あ、娘から電話きたら馬鹿みたいに喜ぶと思いますよ?じゃあ」

って言って、切っちゃうし!何よそれ!二週間近く放っておいてそれか!っていい加減ブチ切れて、迷惑承知で怒りメールして。

そしたら……。

『あんまり声を聞いていると会いたくなるでしょう? 予定どおり帰国できそうです。そしたら今までの分取り返すので覚悟して待ってて』

って返信きて。覚悟ってなに?なんの?あー思い出すだけでなんか……。

< 14 / 172 >

この作品をシェア

pagetop