わたしの愛した知らないあなた 〜You don’t know me,but I know you〜
記憶
1.
「明けましておめでとうございます」
会社の中あちこちで声がしている。年末年始の休み明け、出勤初日はやはりどこか晴れやかな雰囲気が漂う。
しかしそんな気分も、休みの間に溜まった書類やメールの返信に追われるうちに、通常モードに戻っていく。
一花は午後三時ごろには一息ついて、コーヒーを口にした。
そういえば、結局、鬼塚さんにまだ挨拶してないなあ。今日は挨拶回りみたいだし。
榛瑠にも会っていない。どうやら出勤してないらしい。休み中、一緒にアメリカに行ったはずの美園さんもだ。
もしかしたら、そもそも帰国していないのかもしれない。このままもしかして帰ってこないつもりかな、二人して……。
一花は首にかけてあるネックレスを服の上からなぞる。
「一花さん、この書類お願いできる?」
一瞬、ぼうっとしてしまった一花は声をかけられて慌てて言った。
「あ、はい、わかりました。急ぎですか?」
「明日の昼くらいまでにお願いしたいんだけど」
そう佐藤がいつも通り微笑みを浮かべながら答える。一花は書類を受け取って目を通した。
その様子を見ながら佐藤が言った。
「そういえば、四条課長、会社来てないんだね」
「あ、そうみたいですね」
一花は書類から目を上げずに答えた。
「大変だよね、大丈夫なの?」
会社の中あちこちで声がしている。年末年始の休み明け、出勤初日はやはりどこか晴れやかな雰囲気が漂う。
しかしそんな気分も、休みの間に溜まった書類やメールの返信に追われるうちに、通常モードに戻っていく。
一花は午後三時ごろには一息ついて、コーヒーを口にした。
そういえば、結局、鬼塚さんにまだ挨拶してないなあ。今日は挨拶回りみたいだし。
榛瑠にも会っていない。どうやら出勤してないらしい。休み中、一緒にアメリカに行ったはずの美園さんもだ。
もしかしたら、そもそも帰国していないのかもしれない。このままもしかして帰ってこないつもりかな、二人して……。
一花は首にかけてあるネックレスを服の上からなぞる。
「一花さん、この書類お願いできる?」
一瞬、ぼうっとしてしまった一花は声をかけられて慌てて言った。
「あ、はい、わかりました。急ぎですか?」
「明日の昼くらいまでにお願いしたいんだけど」
そう佐藤がいつも通り微笑みを浮かべながら答える。一花は書類を受け取って目を通した。
その様子を見ながら佐藤が言った。
「そういえば、四条課長、会社来てないんだね」
「あ、そうみたいですね」
一花は書類から目を上げずに答えた。
「大変だよね、大丈夫なの?」