わたしの愛した知らないあなた 〜You don’t know me,but I know you〜
「これどうしたんです?今日、出社したんでしょ?」
そう、時計に目をやりながら榛瑠が言う。まだ夕食時だ。
「えっと、家に電話して、終業時間に合わせて持ってきてもらった。そんなわけで品質は大丈夫よ。おいしいわよ、心配しないで」
「何の心配?」
「……私が作ったんじゃないってことよ」
一花がそういうと、榛瑠はお腹を抱えようかという勢いで笑う。そんなにおかしい事言ってないのに、と一花は思う。
程なく鍋が温まると榛瑠は自分でテーブルまで運んだ。
「せっかくですので、いただきますね。ありがとうございます」
「どうぞ」
榛瑠はいつもより明らかにゆっくり食事している。そして、半分ほど残して箸をおいた。
「残りは後でいただきます。ごちそうさま」
見た感じより、たぶん調子悪いんだな、と一花は思う。
榛瑠は立ち上がって薬を取ってくると飲んだ。
「インフルエンザじゃないの?」
「違いますよ、病院に行って調べました。インフルエンザなら、あなたを家にはあげませんよ」
それはそうか。
「熱は?」
「ありますね」
「……薬飲んだら寝てください」
「はい」
大人しく榛瑠は言うと、寝室に行く。そこでベットの端に座ると、「あ、しまった」と言った。
「どうしたの?」
「水を持ってくるのを忘れました」
そう、時計に目をやりながら榛瑠が言う。まだ夕食時だ。
「えっと、家に電話して、終業時間に合わせて持ってきてもらった。そんなわけで品質は大丈夫よ。おいしいわよ、心配しないで」
「何の心配?」
「……私が作ったんじゃないってことよ」
一花がそういうと、榛瑠はお腹を抱えようかという勢いで笑う。そんなにおかしい事言ってないのに、と一花は思う。
程なく鍋が温まると榛瑠は自分でテーブルまで運んだ。
「せっかくですので、いただきますね。ありがとうございます」
「どうぞ」
榛瑠はいつもより明らかにゆっくり食事している。そして、半分ほど残して箸をおいた。
「残りは後でいただきます。ごちそうさま」
見た感じより、たぶん調子悪いんだな、と一花は思う。
榛瑠は立ち上がって薬を取ってくると飲んだ。
「インフルエンザじゃないの?」
「違いますよ、病院に行って調べました。インフルエンザなら、あなたを家にはあげませんよ」
それはそうか。
「熱は?」
「ありますね」
「……薬飲んだら寝てください」
「はい」
大人しく榛瑠は言うと、寝室に行く。そこでベットの端に座ると、「あ、しまった」と言った。
「どうしたの?」
「水を持ってくるのを忘れました」