わたしの愛した知らないあなた 〜You don’t know me,but I know you〜
「すみません、嶋さん。一花はとりあえず大丈夫です。私に話してもいいことなら聞かせてもらえますか」
『実は……社長の乗った車が……』
一通り聞いた鬼塚はいったん電話を切ると一度深く息を吐いた。それから一花を見て言った。
「一花、大丈夫か?」
「……大丈夫です」
一花は下を向いたままくぐもった声で答える。
「じゃあ、今すぐ早退届出してこい」
「早退?」
「帰れ。どうせ仕事にならないだろ」
一花が鬼塚を見上げた。
「ごめんなさい、わたし良く分からないんだけど……」
「俺もよく分からん。嶋さんもよくわかってないらしい。とにかく、社長の乗った車が現地で事故に巻き込まれたみたいだ。ただ、死亡者も重傷者もいない、と嶋さんは言ってた」
「……本当かな?」
「嘘をついてもどうせわかる。とにかく社長は無事らしい、よかったな」
「……榛瑠は?」
一花が震える声で鬼塚に問うた。
「同乗していたみたいだな。でも……。あ、そうか」
鬼塚はあることに気づいた。
「鬼塚さん?」
「多分、早川が一番情報持ってるはずだ。聞いてくるわ。ついでにお前んとこの上司にも体調不良って言ってきてやるよ」
「でも……」
「一花はここにいろ。いいな?」
鬼塚はまだ何かいい足りなさそうに見上げる一花の前に膝をついた。
「いいから動くなよ?お前に何かあったら俺はガチで四条に殺されかねないんだからな」
一花はふっと小さく笑った。
「そんなばかな……」
鬼塚は笑顔を作って一花の頭に手を置くと、そのまま上階の秘書室に向かった。
思った通り秘書課は異様なばたつきようで、その中を煩さがる早川から話を聞く。
極秘だからと言いながら、それでも鬼塚の立場を信用して早川は知っていることを一通り話してくれた。
『実は……社長の乗った車が……』
一通り聞いた鬼塚はいったん電話を切ると一度深く息を吐いた。それから一花を見て言った。
「一花、大丈夫か?」
「……大丈夫です」
一花は下を向いたままくぐもった声で答える。
「じゃあ、今すぐ早退届出してこい」
「早退?」
「帰れ。どうせ仕事にならないだろ」
一花が鬼塚を見上げた。
「ごめんなさい、わたし良く分からないんだけど……」
「俺もよく分からん。嶋さんもよくわかってないらしい。とにかく、社長の乗った車が現地で事故に巻き込まれたみたいだ。ただ、死亡者も重傷者もいない、と嶋さんは言ってた」
「……本当かな?」
「嘘をついてもどうせわかる。とにかく社長は無事らしい、よかったな」
「……榛瑠は?」
一花が震える声で鬼塚に問うた。
「同乗していたみたいだな。でも……。あ、そうか」
鬼塚はあることに気づいた。
「鬼塚さん?」
「多分、早川が一番情報持ってるはずだ。聞いてくるわ。ついでにお前んとこの上司にも体調不良って言ってきてやるよ」
「でも……」
「一花はここにいろ。いいな?」
鬼塚はまだ何かいい足りなさそうに見上げる一花の前に膝をついた。
「いいから動くなよ?お前に何かあったら俺はガチで四条に殺されかねないんだからな」
一花はふっと小さく笑った。
「そんなばかな……」
鬼塚は笑顔を作って一花の頭に手を置くと、そのまま上階の秘書室に向かった。
思った通り秘書課は異様なばたつきようで、その中を煩さがる早川から話を聞く。
極秘だからと言いながら、それでも鬼塚の立場を信用して早川は知っていることを一通り話してくれた。