わたしの愛した知らないあなた 〜You don’t know me,but I know you〜
「で、今、社員の男性がついてるらしいけど、その社員さんも長引くと辛いと思うの。それに、女の人の手があったほうがいいこともあると思うの、入院って」

「だから?」

「だから、あなたがちゃんと仕事として行けるように裏から掛け合うから。多分、早川さんなら了承してくれると思う」

「何のつもりか知らないけど、あんたと仲良く行くの嫌」

はっきり嫌われてる言葉を言われ続けるのもなんだなあ、と思いながら一花は続けた。

「だからね、わたしは行かないから」

「え?」

はじめて美園が正面から一花を見た。

「何言ってるの、あんた?心配じゃないの?結構薄情?」

「心配だよ。だから美園さんに行ってもらうんじゃない」

「イミわかんない」

「わたしが行っても役に立たないもの。言葉もわからなし。それに、父が……社長が戻ってくるならわたしはこっちにいないと」

美園は黙ったままだった。

「それに、入院が長引くならアメリカの仕事のこともあるでしょう?その辺は美園さんじゃないとわからないし」

「へえ、そうなんだ。ふーん」

一花はその馬鹿にしたような返事にビクッとした。が、意外にも美園は真面目な顔をしていた。

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