わたしの愛した知らないあなた 〜You don’t know me,but I know you〜
私服だとバイト先で見ていたのより少し幼く見える。というか、年相応なのかな。確か……。

「須賀くん、大学二年生だっけ」

「そうっすよ」

そう言いながらお腹すいたあ、と大皿にあった料理を勢いよく食べる。

こんな人だったっけ?お店ではちょこちょこと合間に話したことあるけど、それでも数回だし……。

でも、柔らかそうな明るめの茶色の髪と人懐こい笑顔はそのままだ。

「さっき、バイト帰りって言ってたよね。他にもやってるんだ」

「そうです。ノコさんとこすごい好きなんですけど、賄いうまいし。でも、あんまバイト料はよくないんで、って言うのは冗談で、時間あるんで」

そう言ってまた笑う。

実際、新しく出したお店だし、本当にそこまでバイト代よくないんだろうな。でも、いつも気持ちよく働いてた印象がある。

「あ、いっぱい食べて。なんなら私のもあげようか?」

「一花さん、おかん入ってます。僕のことガキだと思ってるでしょう」

「え、いや、えっと」

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