わたしの愛した知らないあなた 〜You don’t know me,but I know you〜
「わからない。でも今回も以前もなんでだかあなたを責めないのよねえ」
「以前って、僕がアメリカに行った件ですか?」
「それもあったわね。でもそれだけじゃなくて……。この件、誰も伝えてない筈だから以前のあなたも知らなかったと思うけど。」
「はい」
「一花ちゃんね、高等部でイジメにあってたの。あなたが原因で」
「高校?僕はもう日本にいない頃ですよね?」
「だからこそよ。最強の騎士を失った優しいお姫様なんて、格好の餌食でしょ」
「ああ……」
「要するに嫉妬ね。もちろん直接の責任はあなたにはないのだけれど。学年も悪かったのよねえ、あの代は」
知らないし、よくわからない話。ただ、以前見た、学園の金をかけた外観だけが頭に浮かぶ。
以前の自分も知らない話を今になって聞くというのも奇妙な気がした。でも嫌ではなかった。むしろ嬉しささえある。もちろん、話しの内容ではなく。
「だけど、おかげで知ったの。あの子見かけよりずっとタフよ。そのことにあなたが救われているのがむしろ悔しいわね。でも、これ以上泣かせたら流石に許さないからね」
これ以上泣かすって何をすればいいのかと榛瑠は一瞬、本気で考えてしまった。
榛瑠は今、横を歩いている人を見下ろす。
「あの、聞いていいですか」
「何?」
一花が視線を向ける。
「以前って、僕がアメリカに行った件ですか?」
「それもあったわね。でもそれだけじゃなくて……。この件、誰も伝えてない筈だから以前のあなたも知らなかったと思うけど。」
「はい」
「一花ちゃんね、高等部でイジメにあってたの。あなたが原因で」
「高校?僕はもう日本にいない頃ですよね?」
「だからこそよ。最強の騎士を失った優しいお姫様なんて、格好の餌食でしょ」
「ああ……」
「要するに嫉妬ね。もちろん直接の責任はあなたにはないのだけれど。学年も悪かったのよねえ、あの代は」
知らないし、よくわからない話。ただ、以前見た、学園の金をかけた外観だけが頭に浮かぶ。
以前の自分も知らない話を今になって聞くというのも奇妙な気がした。でも嫌ではなかった。むしろ嬉しささえある。もちろん、話しの内容ではなく。
「だけど、おかげで知ったの。あの子見かけよりずっとタフよ。そのことにあなたが救われているのがむしろ悔しいわね。でも、これ以上泣かせたら流石に許さないからね」
これ以上泣かすって何をすればいいのかと榛瑠は一瞬、本気で考えてしまった。
榛瑠は今、横を歩いている人を見下ろす。
「あの、聞いていいですか」
「何?」
一花が視線を向ける。