見上げた空の先は
1ヶ月の間、誰とも話すことができず、凄く退屈だった。
行き交う人全員に声をかけ、車椅子に乗れるようになると、みんなでトランプをして遊んだ。
精神科には統合失調症が多く、中には話しかけただけで看護師さんから厳重注意された人もいたけど、若い子も多いしみんないい子で迷惑がらずに遊んでくれた。
「こんにちは、今日からリハビリの担当になる高橋です。よろしくね」
一週間を過ぎると、きついリハビリが始まった。
足を動かそうとしても全く動かない。
最初は本当に何も出来なかった。
看護師数人がかりで起立台に乗せ、リハビリのスタッフが何人もついてやっとのことで車椅子に乗れる。
夜になると自分の足が本当にあるのか不安で怖くて眠れず、昼間はリハビリの日々が続いた。