その誕生日はきっと誰かの特別な日。
「ねえ、返事してないって・・・・・。」

「音羽、まさか、今更、断るのか?」

「断らない・・・けど、返事いらないの?」

「いる。欲しい。言って。」

近い、そんな近くなくていいじゃない。
また腰に当てられた手が力を持ってますが。
体をそらして上半身は離れた。

ちょっとムッとされた気がする。

「あの、よろしくお願いします。ありがとう、プレゼント。大切にするから。」

「さっき大人しく目を閉じて、今更断らないよな。」

・・・・まあ、そうだけど。反射というものもあるし。

離れた顔がまた近寄って来た。
やっぱり近いって。

それでも、やっぱり目を閉じた私。


あの・・・・帰ったほうがよくないでしょうか?
これはどこからも見えてませんか?
暗闇に包まれてますか?
はっきり表情が見えてましたが・・・・・。


さっきより長いキスは、何度も繰り返されたからで、何度目かは自分も顔を寄せてしまったからで。


もう真っ赤だと思う。
大丈夫だろうか?

実は初めてのキスだと分かってないだろうけど、分かってるかな?

暗がりと信じたいそこで見つめ合って。

私の手にはリボンとケースがある。
もう片方の手をしっかり握られて、随分久しぶりに店の中に戻った。
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