君と傘。
「………雨、止まないね」
「一日中、雨って予報されてた」
「なのに、傘持ってこなかったの」
「忘れてた」
「朝から雨降ってたけどね」
「おっちょこちょいなんだよ俺」
「ドジ装って、私が傘支給してくれるのを待ってるの?もしかして、この傘、狙ってんの?あげないよ」
「俺、透明のパンツ履いてるって勘違いされなくないかな」
また、パンツ。軽く蹴りを入れた。
「いたいって。暴力反対。………あ、ここ、小さい頃よく遊んでた公園だよな。寄ろう」
「いつも通ってるじゃん。なんでよりによって雨の日なの」
「いーじゃんいーじゃん」
公園に向けて歩みを進める。彼が動けば、傘も動く。
彼が傘を持っているのだから、仕方なしに彼についていく。濡れちゃうのは嫌だもん。