君と傘。



砂場、ブランコ、滑り台、屋根付きのベンチ。


そんだけしかない小さな公園。


走り回るようなスペースもなく、こんなところで遊んでいたのは私と彼だけ。


「懐かしいね」


今日も貸し切りだ。


「ブランコで靴飛ばししたいな」


「いや、雨だから。ベンチで休憩しようよ。向こうに自販機なかったっけ。ジュース買ってきて」


「傘入れてもらったし、しゃーない。ベンチで座って待ってて」


「うん。私、オレンジジュース。いってらっしゃーい」


「へーへー」


彼を見送る。ふと、小さな頃の彼が頭をよぎった。


私の方が身長高かったのになぁ。


いつの間におっきくなったんだろう。牛乳嫌いなくせに。泣きべそだったくせに。ピーマン嫌いだったくせに。漢字テストいつも補習引っ掛かってたくせに。生意気な。


ぼんやり雨を眺める。やることない。一緒に行けばよかったと後悔をする。





< 4 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop