君と傘。
砂場、ブランコ、滑り台、屋根付きのベンチ。
そんだけしかない小さな公園。
走り回るようなスペースもなく、こんなところで遊んでいたのは私と彼だけ。
「懐かしいね」
今日も貸し切りだ。
「ブランコで靴飛ばししたいな」
「いや、雨だから。ベンチで休憩しようよ。向こうに自販機なかったっけ。ジュース買ってきて」
「傘入れてもらったし、しゃーない。ベンチで座って待ってて」
「うん。私、オレンジジュース。いってらっしゃーい」
「へーへー」
彼を見送る。ふと、小さな頃の彼が頭をよぎった。
私の方が身長高かったのになぁ。
いつの間におっきくなったんだろう。牛乳嫌いなくせに。泣きべそだったくせに。ピーマン嫌いだったくせに。漢字テストいつも補習引っ掛かってたくせに。生意気な。
ぼんやり雨を眺める。やることない。一緒に行けばよかったと後悔をする。