君と傘。
「…………………」
頭のなかで小さな頃の私と彼が公園で遊んでいる風景が流れる。
人見知りだった彼を私がぐいぐいと無理矢理引っ張っている。一緒に笑って、一緒に怒られて、一緒に泣いて。
一緒に卒業して、入学して、登校して、下校する。
時間があえば、一緒にご飯を食べたり、遊びにいったり、買い物に出掛けたり。
好きな時間。宝物のような時間。
私は、彼のことが小さい頃から好きなのだ。
「あ、起きた?」
「………。私、寝てた?」
「おう」
「…………枕硬い」
「贅沢言うな。初めての膝枕の感想は?」
「いい匂いがする。柔軟剤、何使ってるの?」
「変態かよ」
「パンツパンツうるさかった人に言われたくない」
体を起こした。背伸びをした。
「はい、オレンジジュース」
「ん。ありがとう」