好き。好き。大好き
腕を振るうわよ!
と張り切るおばさんを見て
少し寂しくなった。
でも
「ありがとう」
「いやねぇ」
え?
「「普段の心愛じゃない」」
どういう意味よ?
「母さん。今日は心愛の好きなものを作ってやってくれ」
え?
「そうね。心愛のおめでたい日だものね?」
あたしの好きなものなんて言ったことないのに・・・
「知ってる?心愛」
「え?」
「あたしたちの誕生日の日。毎年あたしと心愛が
好きなもの、交互に作ってくれてたこと」
あっ
そう言えば・・・
「大学受かった時も作ってくれてたじゃない?」
うん
作ってくれてた
「あたしたちが知らないだけで、おじさんたちは
あたしたちのこと見てくれてたんだよ」
「うん・・・っ」
そうだ。
今まで気づかなかった。
あたしの好きなものが出たときのうれしさも
おばさんたちは気づいてくれていた
「心愛」
「おばさん。おじさん」
「なぁに?」
「なんだ」