好き。好き。大好き
席に案内されたあたしたち
「はぁ・・・あの人、呼ぶから待ってなさい」
え?
「お袋。そんなことしたら、心菜が」
「心菜さんがどうかしたの?」
きっと、あの時のことを言っているんだろう
「心菜が、倒れちまう」
「へ?」
「心菜。親父に反対された日、倒れたんだよ。
俺にはふさわしくないって」
「なっ」
ワナワナと震えているお義母さん
「なんだ。こんなところに呼び出して。
祐介も、この女性と別れる気にでもなったか?」
「お父さん!いい加減にしてくださいな」
「何?」
「俺も、心菜と別れる気はねぇし、離れるつもりもねぇ」
「お前」
「月島家の人間として、恥をかかせるな」
「あなたは、そうやって、いつも人を見下すのね?
あたしとは、恋愛で結婚したのに、
息子には、政略結婚ですか?こちらが恥ずかしいわ。
世間体しか気にしない、あなたとも、一緒に居る気はないわ。」
「あ・・・・・なっ」
「お義母さん?」
「孫も、生まれるというのに、あなたという人と
一緒になった私が恥ずかしい。月島家の恥?
あなただけがそう思っていればいいでしょう?」
「お袋っ」
「俺は、何を言われようと反対だ。結婚は認めない。
それでもするというなら勘当する」
「そう。分かったわ。
では、私たちも、”離婚”しましょう。」
「お袋!?」
「それはしない。お前は、月島の嫁なんだぞ!?」
怒りに任せて怒鳴ったお義父さん
と
聞こえていないフリなのか
優雅に食事を始めたお義母さん。
「あなたは、口癖になってしまったのですね。
”月島”と”月島家”が。祐介の幸せも顧みない、冷酷な人と
一緒に居て、幸せなものですか」
「く」
「そんな人間が、会社経営のトップだなんて、世も末だわ。」
「おい」