突然、きみが。
僕は、君を一目見てから…目が離せなくなってしまった。
いつもは憂鬱な校長の長話さえ、あっという間だった。

いわゆる、一目惚れってやつだった。

教室へ戻るとき、つまずいて転びそうになり君を見失った。
すごく後悔した。
声をかけておけば良かったって。
ドジらなければ良かったって。
僕だって、タラレバ言っててもしょうがないのは分かってた。


でも、あれから一度も君を見つけられなかった。
名前も知らないし見たことがない子だったから。
吉村に聞いてみたが知らないらしい。
きっと転校生なんだ、と思ったが名前すら知らないので調べようがなかった。



それから数日が経った。

僕は、小学生の頃から学級委員をやっていたから、
今年も、なんとなく学級委員になった。
別にやりがいを感じている訳でもないが、楽しくない訳でもない。
クラスメートからの信頼も厚く、推薦されたら断れない性格だ。

女子の学級委員は、去年も同じクラスだった、
『清水 乃杏(しみず のあ)』という、ショートヘアで背が低い可愛らしい子だ。
実は、吉村は乃杏のことが好きなんだ(笑)
乃杏は頼りになるし、話していて面白い。
妹みたいで誰からも好かれている、すごくいい子だ。


「とりあえず半年間、学級委員がんばろうね!!」
そう言いながら、こっそり紙を僕の手に押し込んだ。
折りたたんであった紙を広げると、
そこには、こう書いてあった。
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