きみと手を繋いで眠りたい
*幼なじみと片思い*
青で統一された部屋は15年間変わってない。その部屋に毎日のように出入りしてる私の話は、もっぱら絶賛片思い中の前澤先輩のこと。
「でね、先輩が薦めてくれた曲がすっごく良くて。本当にボーカルの人がいい声しててね、先輩はよくカラオケでも歌うんだって。洋楽だよ?すごくない?」
「へえ」
「それで来月にライブがあるんだって!先輩行くらしいよ。感想教えてくれるって約束しちゃった」
「ほう」
「ちょっと!さっきからへえとほうしか言ってなくない!?
」
私はベッドの上で漫画を読んでいる友紀に言った。
「お前の話なげーんだよ。つか、俺の部屋に来て毎日どうでもいいことを聞かされる俺の身にもなれって」
「どうでもいいってなによ!」
周りから痴話喧嘩だと言われる言い合いも毎日の光景のひとつ。
私がペラペラと弾丸で喋り、それを受け流しては面倒くさそうな顔をする友紀とは幼なじみの関係だ。
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