きみと手を繋いで眠りたい
「ねえ、友紀好きな人いるんでしょ?」
今日は別々で晩ごはんを食べて、友紀の部屋に向かったのは七時過ぎ。予想どおり友紀はベッドで漫画を読んでた。
「つか、今日お前が迎えに来ないから普通に学校遅刻したんだけど」
「ごめんごめん。で、好きな人は?」
「なんなんだよ、いきなり」
友紀は呆れた顔で寝ていた身体を起こした。
「今日噂で聞いたの。あんたに好きな人がいるって」
あえて愛美から聞いたことは伏せておいた。
「誰にも言わないから教えてよ」と、私は友紀に詰め寄る。
「……いねーよ」
友紀は嘘をつくと歯切れが悪くなるからすぐ分かる。
「私の好きな人は知ってるのに教えてくれないとかフェアじゃない!」
考えてみれば、友紀ってこの手の話はすぐにはぐらかすし、恋愛話は私が一方的にするだけ。
だから単純に友紀の恋バナを聞きたいという好奇心が勝っていた。