きみと手を繋いで眠りたい
「ど、どこに行ってたの?」
そのまま家に入っていこうとする友紀を呼び止めるように声を出した。
「もしかして学校帰り?授業中に居眠りでもして残されてたんでしょ」
「………」
「あ、それともサッカー部の友達に捕まってた?また助っ人で試合に出てくれとか頼まれてたりして」
「………」
「……なんか言ってよ」
ペラペラと話してる自分がバカみたい。
「気になる?俺がなにしてたか」
「え、ま、まあ、それは……」
「なんで気になんの?幼なじみだから?家族だから?」
また友紀が真剣な顔をするから、私は目を見れなくなった。
「俺はこの前のこと、それなりに覚悟してやったよ」
「……覚悟?」
「幼なじみを壊す覚悟」
ドキッと、心臓が大きく跳ねる。
「だから俺は今までどおりの関係には戻る気ないし、幼なじみとしてお前が俺と一緒にいたいなら、もういれない」
ふわふわとしていたものが、急に現実になって。
もう子どもみたいに一緒にじゃれたり、部屋を出入りして夜通し話すことはできないんだって考えたら、崩れそうになるぐらい悲しくなった。
「そういう顔すんな。俺はもうお前のことを普通には触れない。……好きだから、家族みたいに触りたくない」
友紀は苦しそうな顔をして、家へと入っていった。
バタンと閉められたドアがやけに分厚く感じて、本当は追いかけて友紀の腕を掴みたかった。
でも、中途半端なことはできない。
……私の気持ちは?
私はどうしたいの?
嫌になるくらい、今は友紀のことで頭がいっぱいだ。