きみと手を繋いで眠りたい
「友紀」
先輩と別れた私は友紀のことを通学路で待っていた。
私より先に家を出てるなんてことは絶対にありえないし、ここで待ってれば絶対に通ると思ったから。
「なにしてんだよ、お前」
友紀は遅刻ギリギリどころか、1限目がはじまる時間に登校してきた。
だからもちろん私も遅刻だし授業には間に合わないけど、そんなの今はどうでもいい。
「友紀。私、友紀のことずっと家族だと思ってて、これからもそうだって思ってて……。だから、好きって言われて正直、戸惑った」
動揺と同時に、なんでそんなこと言うのって。勝手に決意して、勝手に覚悟して、ズルいって思ってた。
「……キスされて、どんな顔して会ったらいいのか分からなくて。でも、なにもなかったふりをするのは白々しい気がして、いっぱいいっぱい考えた」
あれ、おかしい。
泣きたくないのに、何故か涙が出てくる。
すると、友紀がゆっくりと私に近づいてきた。
いつも『なに泣いてんだよ』って、ゴシゴシ涙を拭いてくれるのに、友紀は私に触らない。
「お前に好きだって言ったことも、キスしたことも後悔してない。……でも、困らせたと思ってる」
友紀だって平然としていたわけじゃない。
私と同じようにたくさん考えて、考えた結果、友紀は私と幼なじみでいることをやめたのだ。
「奈子はどうしたい?」
友紀が優しく問いかける。