きみと手を繋いで眠りたい
「なあ、腹減ったから晩めし作って」
そういえば友紀のお母さん今日も仕事で遅いんだっけ。
「お前、ガサツなのに料理だけは上手いんだよな」
「一言余計だから」
私は首に巻き付いてる友紀の手を払いのけた。
友紀の両親もうちの両親も共働きだから、私たちだけで家に残されることは珍しくない。
家のことはこの年齢になれば一通りはできるし、一応タッパがある友紀も傍にいるので、私たちを置いて両家族で旅行とかに行ってしまうほどの放任主義。
そのせいで私は見た目よりはしっかりしてる、なんて言われることが多いけど、友紀は私がいればなんでも甘えてきて晩ごはんはいつも私が作ることになる。
「チャーハンでいいでしょ?」
「ワカメスープつきで」
「はいはい」
まあ、私もちょうどお腹がすいていたこともあって、私たちは友紀の部屋からリビングに移動した。
友紀の家のものは、自分の家よりも勝手が分かる。
冷蔵庫のものはなんでも使っていいと言われてるし、こうして友紀の家でご飯を食べることも多いから、私の端や茶碗も置いてある。
「うま。おかわりある?」
チャーハンとワカメスープは15分でできた。
だって食材を切ってフライパンで炒めるだけだし、スープは水で戻したワカメをお湯にぶちこんで鶏ガラスープとネギとゴマだけ入れたシンプルなもの。
「あるからゆっくり食べなよ」
私は犬のようにチャーハンを食べる友紀の前の椅子に座った。