きみと手を繋いで眠りたい
自分の部屋に戻った私は、ため息をつきながらベッドへと倒れこむ。
あんな風に出ていっても、友紀はなんのダメージもなく能天気にチャーハンをおかわりしてると思う。
そういう余裕も、かなり腹がたつ。
友紀の言うとおり、前澤先輩には彼女がいる。同じ三年生の先輩でミスコンにも選ばれるほどの美人で、おまけに才色兼備なのでなんでもできる。
そんな欠点のけの字も見つからない彼女さんに、嫉妬した回数は数えきれない。
学校でも美男美女だって有名だし、付き合いも長いらしいから両家の親も公認なんだとか。
ちんちくりんな私とは違い、前澤先輩の隣に並ぶと絵になるし、先輩のことを下の名前で呼べるのも彼女の特権。
奪おうとも思ってないし、奪えるとも思ってない。
でも、なにか大きな出来事があって別れればいいのにって、思ってる自分が怖くて嫌い。
ただ恋をしただけなのに、片思いはどろどろとした感情を連れてくる。
そういうところを、友紀には見抜かれてる気がして。
だからわざと私を逆撫でさせるようなこと言って。
もう、頼まれたって絶対にチャーハンなんて作ってやらない。