きみと手を繋いで眠りたい
次の日。いつも朝寝坊をする友紀のために私が家まで迎えにいくのが日課だけど、今日は迎えにいってやらなかった。
あんなヤツ、遅刻してしまえばいいんだ。
「おはよう」
ぶつぶつと文句を言いながら歩いていると、後ろから声をかけられた。
振り向くと、そこには前澤先輩がいて、朝からキラキラとしたオーラは太陽よりも眩しい。
「え、あ、お、おはようございます!」
嬉しさでつい声がひっくり返りそうになってしまった。
「なにかあったの?奈子ちゃん独り言言ってたよ?」
先輩が呼んでくれる奈子という名前が柔らかくて、さっきまでの険しい顔が消えていく。
「気にしないでください。大したことじゃないんです」
「そうなの?」
ああ、なんで先輩は朝からこんなにカッコいいんだろう。
ニキビとかできないのかな?寝癖もつかないのかな?
失礼と思いながらも観察するように見すぎてしまう。