きみと手を繋いで眠りたい
前澤先輩のことを名前で呼ぶ彼女さんは本当に綺麗でスタイルも良くて、寸胴な私は消えたいくらい恥ずかしい。
「ん?後輩?」
なのに、彼女さんは私に気づく。
「うん。一年生の奈子ちゃん」
「奈子ちゃんかあ。可愛いね。制服もカバンもまだピカピカだし、初々しくていいな。私なんて老けて見られるからこの前なんて25歳ぐらいですかって言われたんだよ。ひどくない?」
彼女さんがもっと意地悪な人で性格が最悪だったら良かったのに、気さくで本当に欠点がない素敵な人。
「奈子ちゃん、どうしたの?」
彼女さんの言葉に受け答えできずにうつ向く私を見て先輩が心配そうな顔をした。
「なんでもないです。私、お邪魔なので先に行きますね!」
精いっぱいの笑顔を見せて、私はふたりから離れた。
別れればいいのにって思ってる自分が情けない。でも、先輩への気持ちはなくならない。
どうして先輩はひとりしかいないんだろう。
どうして先輩は誰かのものなんだろう。